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【後編】広島県が取り組んでいる 「チームイノベーション道場 in 広島」について

後戻りのない変化がある勉強会

参加者が確実に変化し成長する勉強会があります。主催者は、広島県商工労働局イノベーション推進チーム 中小・ベンチャー企業支援グループの梅田さんです。彼の問題意識をベースにして開発されたカリキュラムは、「参考になりました」という座学だけには終わらせない工夫が詰まっています。

プログラム名は「チームイノベーション道場 in 広島」です。最新のイノベーション・ケースメソッドを2名のMBAの講師から、スコラ・コンサルトからは、チームで変化を起こしていくための展開シナリオ作成と実践サポートを提供しています。思考の深まりと行動の変容が二本立てのハイブリット型仕立てが肝になっています。

梅田さんの問題意識

ハイブリット型企画は、梅田さんの生きざまから発していると言えます。梅田さんは、忖度もほどほどに、上司の顔色を判断基準にすることはありません。より良き施策という一点に真摯に取り組んできた人です。

これまで地場の中小企業を支える仕事や観光業を盛り上げていく仕事を数多く行なってきました。その中ではいつも、関わった人の成長に確実に寄与できているかどうかを成果指標としてきました。

当然、すべての仕事が100%上手くいったわけではありません。梅田さんは、くやしい思いを経験していく中で、支援の成果を左右する因子として大きなものに組織風土があることを痛感してきたのです。

現場の良きアイディアが実行に移されなかったり、経営の戦略はすばらしいのに現場で具体化、実践されなかったりする。しかし、社内の関係性や組織のつなぎの良さで成果の半分は決まります。だから、とことん入り込んでサポートする。これは自分たちの地場産業を支えていく上での梅田さんのこだわりになっています。

前向きな風土の醸成が地域を活性化するコア企業の輩出に効いてくる

相談のしやすさ、協力する雰囲気。参加企業の組織風土を前向きなものにしていくプログラム進行によって、地域のコアとなりうる企業に育っていくという変化が続々と起こっています。

事例として、廿日市市宮島で宿泊業を営む菊乃屋さんと、福山市で染料の販売を専門とする岩瀬商店さんの変化を紹介します。

宮島にある菊乃屋さんでは、宮島のさらなる活性化を事業の方向性として掲げることを勉強会の中で決めました。「宮島に行くから、ついでに菊乃屋さんに泊まる」という従来の流れに対する不満を素直に言葉にし、どうすれば旅の目的にしてもらえるかについてコアメンバーと真剣に話をしていったことが、宮島の活性化という、ひとつ外側にある貢献に目を向けていくきっかけをつくりました。現在、宮島にあるものの価値を再発見して伝えるハブとなるための、商品・サービスを開発してトライしています。

福山市にある岩瀬商店さんは、地域に愛される存在へと、事業を大きくシフトすることに手応えをつかんでいます。具体的には、自分たちがBtoBで展開していた商品である染料を、ソメラボという店舗をつくってBtoCで提供し始めました。チームで話し合って、染め体験を打ち出し、地域の人々や学校から人を集めることに成功しています。観光のガイドマップに、目玉として紹介される日も近いでしょう。何より働いている人たちに、自信がみなぎっています。

結び

県主催の勉強会ならではの成果は、地域の活性化をリードしていく企業の輩出です。この一点に、妥協なく取り組んでいる「チームイノベーション道場 in 広島」は、皆さんの地場産業支援のモデルの一つになるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、広島県庁の梅田さんの仕事に対する姿勢がプログラム全体のベースをつくっています。確実に変化し続ける企業になっていただくための工夫が詰まった勉強会になっています。

興味のある方は、一度、「チームイノベーション道場 in 広島」に遊びに来てはいいかがでしょうか。イノベーションというキーワードを地域活性化に生かしていくヒントが見つかると思います。

記:岡村 衡一郎氏

スコラ・コンサルト コラム 2019.03.06より転載させていただきました。
http://www.scholar.co.jp/column/detail.php?id=363

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