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TIESな日々
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2024年度第三回 TIES – マネジャーとは何か、社員をエンパワーメントする鍵とは

広島県商工労働局イノベーション推進チームが主催する「チームイノベーション道場in広島」TIESの第三回目が開催されました。

第三回目のテーマ、ディスカッション科目・ダイアログ科目でも「マネージャーの在り方」について議論を深めてまいりました。TIES参加者のそれぞれの職務は多岐にわたり多様なメンバーで構成されています。それぞれの立場の参加者がいるからこそ、いろいろな角度から考えることができ学びが深まっていきます。マネジャーとは何か、そして社員のエンパワーメントするには…。

それでは、今回もTIESの様子をご紹介します。

 

ディスカッション科目・ダイアログ科目の概要をみる

 

次第

  1. 前回の学びの共有(Adjust Design 藤原研太さん)
  2. ディスカッション科目(キャピタルコーポレーション 村井由香さん)
  3. ダイアログ科目(岡村さん)
  4. まとめ

前回の学びの共有

前回に引き続き、TIESの第一回から第二回を通して、TIESで学んだことや取り組んだこと、今後役立てれそうなことを共有いただきました。

参加者からは、TIESに参加したことでの気持ちの変化を聞くことができました。

前回の学びのレポートは以下を参照ください。

前回の学びを共有
前回の学びを共有

学び・取り組んだこと

ここで参加者からの学びと取組みについて、いくつかご紹介します。

  • コミュニケーションの大切さを改めて感じることができた。部下と打ち合わせをするとき、そこに臨む意識が変わった。
  • 先生の言葉で「ダメで元々の意味には、だめなら元に戻せばいいという考え方のでは」という言葉が印象的でした。まずは、やってみる。いろいろなことに挑戦していきたい
  • 前回のケースで「社長の想いを伝えるのは大事かもしれない。けど全部話す必要はあるのか?」という言葉印象に残っている。
  • 前回のTIESでのグループ討議で、とても良い雰囲気で、考えもつかない様々な意見が飛び交っていた。反面、論理立てての話し合いができず難しかった。自社の会議でも本筋からそれないよう注意したい。
  • 社内で打ち合わせをするなか、ひとつの話でも自分と周りの人では感じ方は人それぞれだと改めて理解した。今後はさらにどういう受け取り方をされるかも考えていきたい。

人の話に耳を傾ける。わかっているけど、なかなか難しいことでもあると思います。TIESを通して、その重要性に改めて理解が深まっているのではと実感してきました。単なる発言や事実の裏にある背景や成り立ちをしることで、さらにその意図や意味を読み取る力が養われていきます。TIESで学んだことをすぐに実践できないこともあるかもしれませんが、今は引き出しを増やし、学びを積み重ねていくことが大切です。その学びを活かす機会が訪れたときには、ぜひ自信をもってチャレンジたいですね!

グループ討議の様子
グループ討議の様子

ディスカッション科目

今回のケースメソッドは「株式会社飯島エージェンシー神戸営業所マネジャー伊藤理恵」です。TIESの第一期生でもある「株式会社キャピタルコーポレーション 代表取締役 村井由香さん」に講師をいただきました。

講師を努めていただく株式会社キャピタルコーポレーション 代表取締役 村井由香さん
講師を努めていただく株式会社キャピタルコーポレーション 代表取締役 村井由香さん

今回のケースについても、どの会社にも馴染みのある問題かもしれません。伊藤の悩み、この会社の問題とは、解決する方法は他にはないのか。様々な角度から本質を考えさせられるケースでした。

ケースの概要と討議の様子をご紹介します。

概要:株式会社飯島エージェンシー神戸営業所マネジャー伊藤理恵

キャリアにおける難しい決断に直面する一人の女性マネジャー伊藤理恵。彼女は、株式会社飯島エージェンシーという急成長中の求人広告代理店で、神戸営業所のマネジャーとして働いています。伊藤はもともとアナウンサーを目指していましたが、その夢を諦め、2006年に同社に入社しました。広告業界未経験ながらも、営業マンとして頭角を現し、トッププレイヤーとなった彼女は、異例のスピードで昇進し、2011年には10人の部下を持つマネジャーとなりました。

しかし、昇進後の彼女は苦労を重ねます。営業の実績を誇っていた伊藤は、自分が率先して成果を示せば部下も成長すると考えていましたが、部下たちは思うように成長せず、ミスが続き、クレームも相次ぎます。部下のミスを指摘しても育成には繋がらず、退職が続く中で「伊藤の下では新人が育たない」との噂も流れ始めました。さらに、飯島社長から「クライアントを全て部下に引き継ぎ、マネジメントに集中しろ」と命じられたことで、伊藤は自分の得意分野を奪われ、やりがいを感じられなくなります。マネジメント業務に専念するも、クレーム対応や部下のミスの修正に追われ、疲弊し、体調も崩し始めます。

そんな中、彼女にもう一度アナウンサーとしての夢に挑戦するチャンスが訪れます。彼女が副業で行っているコミュニティラジオのDJ活動を聞いた業界関係者から、全国ネットのFMラジオ局の番組でDJをやらないかとオファーが来ました。これにより、伊藤は再びキャリアの分岐点に立たされます。現在の仕事を辞めてアナウンサーとして再挑戦するか、それとも苦しいマネジャー業務を続けるか、彼女は大きな葛藤を抱えます。

一方で、飯島エージェンシーでは、自分を信頼し、育ててくれた飯島社長への恩義も感じており、事業部長として会社の成長に貢献したいという思いもあります。しかし、現在の苦しい状況を「現実逃避」として片付けられるのではないかという懸念もあります。さらに、プロのアナウンサーとして生計を立てることができるかどうかは、聴取率や運に左右される不確実な世界であり、将来の見通しも決して明るいとは限りません。伊藤は果たして誰に相談したらよいか、考えあぐねていました。

グループ討議・全体討議

まず、多くの参加者が注目したのは、伊藤さんの健康状態です。体調を崩してまで仕事を続けるべきなのか、それとも退職を考えるべきか。ある参加者は「上司でも親友でも、同じように退職を勧める」と話し、彼女の健康を第一に考える意見が多く挙がりました。しかし一方で、「まだ会社に残ってほしい」との声も少なくなく、上司としてどう対応するかが大きなテーマとなりました。

今回のグループ討議では、伊藤理恵の悩みや飯島エージェンシーの成長背景、そしてマネジメントの課題について、深い議論が展開されました。伊藤さんは32歳というキャリアの転機にありながら、体調を崩し、マネージャーとしての責務に押しつぶされそうになっています。果たして、彼女が選ぶべき道は何なのでしょうか?

グループ討議の様子
グループ討議の様子

次に議論が集中したのは、飯島エージェンシーの成長の裏側です。飲食業界に特化した求人事業で成功を収め、急成長を遂げているこの企業ですが、残業代未払いの問題や社員の負担増加といった側面が浮かび上がりました。「社長の強力なリーダーシップが会社を引っ張っているものの、その分社員への負担が大きい」という指摘もあり、成長の影には苦労があることが明らかになりました。

そして、伊藤さん自身のキャリアについても深く掘り下げられました。32歳という年齢で、営業マンとしてトッププレイヤーだった彼女は異例のスピードでマネージャーに昇進しましたが、現在は部下の育成に苦しみ、クレーム対応に追われる毎日です。中には、「伊藤さんがマネジメントの正式な教育を受けていないのでは?」という指摘もあり、彼女が持つスキルとマネジメント業務とのギャップが問題の一因とされました。

さらに、飯島社長のスパルタ的な指導スタイルも議論の対象となり、「失敗を許さない社風が、伊藤さんをさらに追い詰めているのではないか」との意見が出ました。伊藤さん自身も、部下を完全には信頼できず、結果的に自らが全てを背負い込んでいる状況です。

また全体討議の最後には「飯島社長の立場で、離職率の高さにどう対応すべきか」という問いに対して、いくつかの重要な設問が出されました。

意見が集中したのはやはり「社員の負担軽減」を図る必要があるという点です。残業が常態化している状況を改善し、労働時間を適切に管理することが求められます。特に、現在採用されている裁量労働制や残業代の支給方法の見直しが必要です。社員が過度な負担を感じずに働ける環境を整えることで、離職を防ぐ一歩となるのではないかという意見が多く挙がりました。

飯島社長として、どのような対応をとるべきでしょうか?業務量の見直しは確かに重要ですが、売上の減少リスクも考慮しなければなりません。しかし、経営者としては、業務量を減らすだけでこの問題が解決するかどうかという視点も持つ必要があるかもしれません。社員の負担軽減と会社のパフォーマンス向上を両立させるためには、もっと俯瞰的な視点が必要となります。短期的な売上に囚われることなく、長期的な成長を見据え、戦略全体を広い視野で見直すことができるようにしたいですね。

全体討議では様々な意見が飛び交う
全体討議では様々な意見が飛び交う

社員をエンパワーメントする3つの鍵

今回の講義では、村上さんから社員のエンゲージメントを高めるための重要なポイントがいくつか紹介されました。その中でも特に印象的だったのは、社員一人ひとりの自主性を引き出し、企業全体の活力を高める「エンパワーメント」の考え方です。エンパワーメントとは、社員が自らの力で問題を解決し、成長していける環境を整えることを意味します。この環境づくりが、最終的には組織の成長や成功に直結するという考え方です。

具体的には、社員に正確な情報を共有し、信頼関係を築くことから始まり、明確なビジョンを設定して自律した働き方を促すことが求められます。また、チーム全体が自発的に管理できるように支援し、最終的には社員自らが企業の成長に貢献できるような環境を作り出すことが重要です。

社員の潜在的な能力を引き出すには
社員の潜在的な能力を引き出すには

また、「成長マインドセット」を持つことの重要性をご紹介いただきました。これは、社員が失敗を学びの機会と捉え、絶えず自分を成長させる姿勢を持つことで、組織全体が活性化し、イノベーションを促進するというものです。これらのポイントを実現することで、社員のエンゲージメントが高まり、最終的には企業の業績向上にも繋がることが期待されます。

実際の現場にどう適用できるか。社員の潜在的な能力を引き出し、企業全体を活性化させるための鍵は、リーダーシップとエンパワーメントにあるかもしれません。

社員をエンパワーメントする3つの鍵
社員をエンパワーメントする3つの鍵

ダイアログ科目

「マネージャーとは何か?」この問いから始まった今回のダイアログ科目は、発散と収束を繰り返しながら、組織におけるマネージャーの本質に迫りました。

岡村さんが支援したある企業では、役員たちがそれぞれの立場から意見を交わしていましたが、競争を重視する役員A、部下へのサポートが足りない役員B、そして「ふたりとも頑張ってはいるが」と両者を見守る社長Cといった姿ありました。この会社には何が足りなかったのか?おそらく役員としての役割を明確に定義せず、共通認識が持てていなかったことが根本的な課題だったのではと岡村さんは言います。

マネージャーが果たすべき3つの要素に通じて、対話を通じて共有し、共通の理解を築くことが重要かもしれません。

ダイアログ科目の様子
ダイアログ科目の様子

マネージャーとは

3つに分かれて議論したグループ討議では、マネージャーの仕事を洗い出し「マネージャーとは〇〇である」と定義します。そこから最も重要な価値を絞り、どのように進めるか、その具体的な行動までを議論しました。

今回のダイアログ科目での議論では、「マネージャーとは何か?」という問いが多くの視点から掘り下げられました。まず、社長の理解者として業績を見据えることが求められるマネージャーの役割について議論が展開されました。しかし、すべての企業がそんな人材を揃えられるわけではなく、中小企業では特に、人材不足が大きな課題です。先代のマネージャーが退職した場合、今いるメンバーから新しいリーダーを抜擢するのか、それとも運営のやり方自体を見直し、アルバイト中心でも回せる仕組みを考えるべきなのかといった具体的な提案も出ました。中には「社長自身が店長を兼任すべきでは?」という意見もあり、マネージャーの役割と組織の運営体制について様々なアイデアが飛び交いました。

さらに、マネージャーが部下の話をどのように聞くか、エンゲージメントを高めるためのコミュニケーションの重要性も強調されました。単に「話を聞く」だけではなく、部下の意見をしっかり吸い上げ、会社の成長に繋げるための対応が必要です。同時に、会社を変革するには、明確なテーマやビジョンが不可欠であり、売上目標と成長目標を一致させて「なりたい姿」を描くことが、会社全体の方向性を明確にするための鍵だという意見も出されました。

マネージャーは単なる社長の理解者であるだけでなく、下からの意見も取り入れる調整役です。果たして社長の意見が常に正しいのか、その視点を持ちつつ、会社全体をより良く導いていくためには、マネージャーの役割をどのように再定義し、実行していくかが問われているのかもしれません。

マネージャーとは何か、その本質を議論
マネージャーとは何か、その本質を議論

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ディスカッション科目では、業務量の見直しが必要であるという意見が多く出されましたが、それだけでは問題の根本的な解決に繋がらないのではないか、という議論が交わされてましたね。業務量を減らすことで短期的な負担は軽減できても、組織全体の成長やパフォーマンス向上にはもっと深い戦略が必要かもしれません。

ケースメソッドでは、毎回「何かモヤモヤした部分」が残るという感覚があります。ただ、それこそが問題の本質を見極め、次のステップを考えるきっかけになるのだと感じました。

エンパワーメントを通じて社員に自主性を与えることが、この「モヤモヤ」を解消する鍵となるのかもしれませんね。

ダイアログ科目では、岡村さんの進め方すごいですね。今回も雰囲気よく活発な意見交換が行われました。

参加者からは「マネージャーの本質についてここまで深く考えたことはなかった」という声が多く聞かれ、マネージャーの役割やリーダーシップについて新たな視点が得られました。特に、単に業務を管理するだけではなく、マネージャーとして会社全体の成長を見据え、会社として「なりたい姿」を描くことが非常に重要であるという認識が共有されたように思います。

このディスカッションを通じて、マネージャーとしての役割の深さと、組織を導くためのビジョン設定の重要性が改めて明確になったのではないでしょうか(改めて考えるとマネージャー大変すぎない?という言葉が印象的でした)

さてさて、次回のTIESは9月24日(火)に開催されます。ディスカッション科目では、「飲食店3店舗を運営する”社長の器”」を予定しています。

TIESへの参加・体験をご希望の方は以下にご連絡ください。


広島県商工労働局イノベーション推進チーム:中西、松浦、河相
TEL:082-513-3355
Mail:syo-innovchu@pref.hiroshima.lg.jp

 

TIESシーズン1の概要を覗いてみる

 
参加者の様子
次回もよろしくお願いします!

では、次回にお会いしましょう!どうぞよろしくお願いします!

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