2024年度 第二回チーム・イノベーション道場in広島が開催!
広島県商工労働局イノベーション推進チームが主催する「チーム・イノベーション道場in広島」TIESの第二回目が開催されました!
前回の第一回目はお試し参加だった方々も正式に参加いただけることとなり、益々盛り上がりをみせています。
第一回目はTIESでの学びを体験することを重視した内容でしたが、今回からは本格的な学びがスタートします。今回もその様子をご紹介します。
次第
- 前回の学びの共有(Adjust Design 藤原研太)
- ダイアログ科目:自社商材の価値(岡村さん)
- ディスカッション科目(Adjust Design 藤原研太)
- まとめ
前回の学びの共有
第一回目のTIESでは、「イノベーションとはなにか」からイノベータに必要なスキル、自分を遡行することでイノベーションの源泉を探る対話、W大阪のケース・メソッドを実施しました。
前回のTIESでどんな学びを得ることができたでしょうか。前回での気付き、自社で役立てられそうなこと、自社でやってみたこと。このセッションでは少人数グループで話し合いをおこない、全体へ共有しました。
- どんなことに気づいた、感じたか?
- 自社で役立てられどうなことは?
- 自社でやってみたことは or やってみてみることが難しいのはなぜ?
前回の学びのレポートは以下を参照ください。
どんなことに気づいた、感じたか?自社で役立てられそうなことは?
「他の方々の発言を聞くことでがとても新鮮で、多くの気づきを得られました」
多くの方々が他の参加者からの発言、自分では気づかない視点に多くの学びを得られました。そこから物事に対する捉え方、目線を変えてみる重要性を改めて認識することができたと言います。中にはちょうどW大阪に宿泊する機会があり、いつもとは違った目線で「サービス」を観察することができたという参加者もいらっしゃいました。
周りの方々が何を考えているのか、どういう視点で捉えているのか、いままでと違った目線でサービスや物事を捉えてみる。言葉ではわかっていますが、実践まではできたいかたかどうか。TIESでの実践を通すことで重要性を再認識できたので、役立てられそうと、多くの参加者から声をいただきました。
自社でやってみたことは or やってみることが難しいのはなぜ?
「ブレイクスルーが起きるタイミングは、その会社の雰囲気などで様々です。そのタイミングがきたときに実践できるよう、引き出しを増やしていくが重要です」と村上さんは言います。
それぞれの会社の風土や雰囲気があるので、得た学びを直ぐ実践できるかどうかは分かりません。では、なぜ実践が難しいのか、参加者同士でディスカッションを行いました。
やってみたこととしては、立場や肩書をなくしたざっくばらんなミーティング、ここではプライベートなことも含みながら、その人を理解する内容で進めたようです。他には、クレドの作成を呼びかけたが、これは全員の賛同を得ることが難しかったと言います。
なぜ、実践が難しいのでしょうか。その理由は何故か、またそれは何故か、何故、何故、何故と、その本質を探る議論を深めていきます。実践が難しい理由としては、やっても意味がないのではという意見や、時間の制約がある、リーダーの不在など様々な問題が浮き彫りになりました。
実践するために自社の雰囲気はどうか、まずは思いを共有している者同士で始めてみるといった意見が挙げられました。
業界や業種は異なっても、それぞれが抱える課題は共通することが多いです。ただ業界や業種が違うからこそ、自分たちでは気づかない視点があり、そこから解決の糸口が見つかるかもしれません。
ダイアログ科目:自社商材の価値
前回の振り返りでの「やってみることが難しい点」において、全員から賛同を得ることが難しい、反対意見に対して否定が難しい、人間関係を壊したくないという意見がありました。
「商品、お客さまに対して目線がいっていますか? おすすめの論点は”未来の成果を議論”することかもしれません」岡村さんは言います。
第一回目では「自分の遡行」をテーマに対話を行いました。今回は「対話とイノベーション」その繋がりをテーマに進めていきます。
- お客さまのために存在しているのだから、お客様のための対話
- テーマに係る人全員で(知らない人がいるからこそ良い意見が出る。反対意見は当然)
- なんとかしたい人(最も考えたい人)が1人居ることで、良い議論ができる。
「プロジェクトを動かすとき何かしらの反対意見はありますが、まずは動かしてみることが大切。それが成功するか、答えはお客さまが持っている。反対だけど進めれることも良い社風の一つではないでしょうか」
自社の一品について
今回のダイアログ科目では、参加者に「自社の一品」を持ってきていただき、それらの持つ本質的な価値、商品・サービスについての更なる可能性について議論を行いました。
ベビーリュックの中心の価値とはどこにあるのか、この餃子の支持を得ている理由や歴史は、そもそも自分たちの仕事・商品は何なのか。
「努力すべきポイントは、お客様が喜ぶポイントを議論すること。お客様との接点を会議室で如何に再現できるかが鍵」と岡村さんは言います。
TIESでは対話をするこで学びを深めています。「対話とは、感情を含めてのやりとり、心理的安全性が担保されていることも重要ですが、そのときの対の概念を含めて、最適解を導き出せる話し合いができることではないでしょうか」と岡村さんは言います。
ディスカッション科目:変わり続ける老舗和菓子屋4代目
今回のケース・メソッドは「変わり続ける老舗和菓子屋4代目」です。TIESの卒業生でもある「Adjust Design 藤原さん」に講師をしていただきました。
冒頭に藤原さんから「学びのスタイル」として、大人の学びの3条件、ケース・メソッド授業の流れ、また相互の学びに貢献するためのポイントを説明いただきました。ここでは「相互の学びに貢献する要素」として、3つのエネルギー「勇気・礼節・寛容」をご紹介します。
相互の学びに貢献する要素:3つのエネルギー
「ケース・メソッドは “協働作業” です。他者の学びに貢献する、他者の発言・考え方から学ぶために、以下の3つのエネルギーが必要となります。これらを意識して発言をすることで、学びはより一層に深くなる」と藤原さんは言います。
勇気 | • 発言する際には、批判や失敗を恐れない “勇気” が必要 • 回答に正解はない。逆に不正解もない。 |
礼節 | • 討議とは、仲間との共同作業です。ゆえに礼節が必要 • 自分の丁寧な言動によって、自他ともに攻撃的な口調にならず、場にオープンな雰囲気が生まれる |
寛容 | • 仲間の生い立ち、個性、考え方など、多様性に寛容な態度が必要。 • 無意識に存在する固定概念を取り払うと、思考の柔軟さと新たな視点が得られる。 |
第一回から第二回までのインターバル期間には、参加者の皆さんで「事前勉強会」を開催し、ケースへの理解を深めていただいております。
ケースを読んだ感想としては「できる社長にありがち」といったものから、ケースにも登場した「モンテッソーリ教育」について調べてみたなどが挙げられました。
ここからは、ケースの概要や討議の様子をご紹介します。
概要:変わり続ける老舗和菓子屋4代目
創業80年を誇る老舗和菓子屋を4代目として継いだ中島信也は、伝統を守りながらも時代の変化に対応するため、新しい取り組みを積極的に行ってきました。中島は、商品の個包装への変更やデザイン刷新、さらに新ブランドの立ち上げを通じて、和菓子に現代的な要素を取り入れることで、新しい顧客層の開拓や業績向上に成功しています。
しかし、そうした表面的な成功の裏で、中島は従業員とのコミュニケーション不足や組織内に存在する変化への抵抗を感じていました。この問題は、有望な新人社員が突然退職するという事態に表れます。退職理由として、社員が会社の方向性に不満を抱いていたことが明らかになり、中島は自身の経営スタイルや組織の在り方に疑問を抱き始めます。
退職した社員が受けていたモンテッソーリ教育に触発された中島は、これまでの「変わるために変わり続ける」という信条を再評価する必要があると考えるようになります。彼は、社員一人ひとりが自律的に成長し、組織全体が本質的な変革を遂げるためには、どのようなリーダーシップが求められるのかを模索し始めます。
ケース設問
- 中島と笹岡の取組みをそれぞれ列挙してください。併せて、その動機も書いてください。
- 中島の直面する課題は何でしょうか?
- あなたが老舗和菓子屋4代目社長であれば、この後、どのように会社を変え続けていきますか?
グループ討議・全体討議
グループ討議では、参加者たちは設問に基づいて中島と笹岡の取組みについて話し合い、その動機を探ることから始めました。中島の取組みとしては、伝統的な味を守りつつも、新しい菓子の開発やデザイン刷新、ブランドの立ち上げに取り組んできたことが挙げられました。中島の動機は、老舗としての伝統を守りながらも、時代に合わせた変化を追求し、将来的にも顧客に支持される商品を提供することにありました。
この討議を通じて、参加者たちは中島の直面する課題についても議論を深めました。課題として挙げられたのは、従業員とのコミュニケーション不足や、組織内での変化への抵抗、さらには伝統を守る一方で革新を追求する難しさなどが含まれます。中島が進めている変革が、必ずしも全ての従業員に支持されていないという点が、特に重要な問題として浮き彫りになりました。ただ、中島が進めたからこその成果であると様々な意見が上がりました。
最後に、「あなたが老舗和菓子屋4代目社長であれば、この後、どのように会社を変え続けていきますか?」という設問に対しては、グループごとに様々な意見が出されました。ある参加者からは、伝統を守ることと革新を進めることのバランスを保ちながら、従業員の意見を積極的に取り入れた経営が必要だと主張しました。また、別の参加者からは、中島の取組を評価し、不協和音を恐れず経営を進めるなど様々な意見が挙げられました。自分の視点のみでは気づかない議論が展開され深い気づきを得ることができました。
このケースを通じて、伝統と革新のバランスを取る難しさ、組織内のコミュニケーションの重要性、そしてリーダーシップの在り方について再確認しました。今後、私たちもこの学びを活かし、より良いリーダーシップを発揮し、組織の成長に貢献していきたいですね。
まとめ
2024年度第二回チームイノベーション道場in広島の様子について紹介をしました。今回から本格的な学びをスタートしたTIES。インターバル期間の今回の学びの共有や、次回ケースの事前勉強を開催しております。
次回のディスカッション科目では「株式会社 飯島エージェンシー 神戸営業所マネージャー 伊藤理恵」を予定しております。
また、TIESへの参加・体験をご希望の方は以下にご連絡ください。
広島県商工労働局イノベーション推進チーム:中西、松浦、河相
TEL:082-513-3355
Mail:syo-innovchu@pref.hiroshima.lg.jp
では、次回にお会いしましょう!どうぞ宜しくお願い致します!!