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TIESな日々
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挨拶をする講師陣、県職員、TA

2024年度 第一回チーム・イノベーション道場in広島(T.I.E.S)を開催しました!

広島県商工労働局のイノベーション推進チームが主催する「チーム・イノベーション道場in広島」(略称 TIES: タイズ)の2024年度第一回目が2024年6月27日(木)12:00から開催しました!

TIESは今年度で7年目を迎えます。今年も多くの方に参加いただき感謝いたします。

今年度のTIESは、道場長である金沢工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科 教授 村上敏也さん、経営コンサルティングアソシエーション取締役社長 岡村衡一郎さん、そして、昨年からはTIES修了生のTA(Teaching Assistant)の皆さんも講師として参加いただいております。この1年間、参加者の皆さんと共に学びを深めていきます。

さて、今回は第一回目でもあるため、TIESでの学びを体験いただくことを重視して進めてまいりました。TIESはどういったカリキュラムで進んでいくのか、イノベーションとは何か?ディスカッション科目・ダイアログ科目の様子をご紹介します。

 

ディスカッション科目・ダイアログ科目の概要をみる

 

次第

  1. はじめの挨拶
    • 広島県イノベーション推進チーム、TA、岡村さん、村上さん、参加者自己紹介
  2. TIESとは?(村上さん)
    • イノベーションの3つの要素
    • イノベータに必要な5のスキル
  3. ダイアログ科目(岡村さん)
    • 話し合いの4形態。誰でもイノベーションは起こせる!
  4. ディスカッション科目(村上さん)
    • ケース:W大阪「落ちちゃった」GT-R ミニカーがレッカー車で戻ってきた理由
  5. まとめ
    • 次回のダイアログ科目とディスカッション科目

はじめの挨拶

今年度TIESで共に学びを深めていくために、広島県職員・講師陣(メンター)・TA・参加者の方々に簡単に自己紹介をいただきました。広島県職員からはTIESを開催するに至った背景から、TIESでどのような学びがあるのか、その目的をご説明いただきました。

【広島県職員の挨拶「TIES設立の背景と目的」より抜粋】
県経済が将来にわたって活力を維持していくためには、県内総生産の約7割を占めるサービス産業における生産性を高めていくことが重要であるとの考えのもと、県内企業の皆様からの声や専門家の方々との協議を重ね、付加価値の増加につながる人材、組織に着目した取組を、チームイノベーション道場in広島として2018年から実施しております。
社員一人一人が自ら考え、革新的なサービス、付加価値の高いサービスを提供できる環境や組織、社員がいきいきと活躍できる場を作っていただくことが、ひいては、自社の魅力を高め、人材の確保にもつながると考えられます。みなさまにも、TIESでの立場や組織を超えた学びを、自社へ持ち帰っていただき、会社でイノベーションを起こす人財になっていただきたいと思っています。
挨拶をする講師陣、県職員、TA
挨拶をする講師陣、県職員、TA

T.I.E.Sとは?

「イノベーションって何でしょうか?」

村上さんの問いかけから、まずは「そもそもイノベーションとは何か?」を参加者同士で話し合いました。参加者からは「発見」「変革」「革新的」「新しい価値」など様々な言葉でイノベーションが定義されていきました。その後、村上さんから「イノベーションについて」以下をご説明いただきました。

  1. イノベーションの3つの要素
  2. イノベータの5つのスキル
  3. 新しい価値を生み出す5つの行動パターン
  4. チームにるイノベーションとは?
  5. チームイノベーションへの多層アプローチ

ここでは、イノベーションの3つの要素と、イノベータの5つのスキルをご紹介します。

勉強会の様子
参加者に「イノベーションとは何か」を問いかける村上さん

イノベーションの3つの要素

イノベーションには3つの要素があります。このうちどれか一つでも欠けていれば、それはイノベーションとは言えなかったかもしれません。いま世の中にあるイノベーションと呼ばれる商品・サービスは、これら3つの要素を満たしているといえます。

新しい完全に”新しい”である必要はない。例えば、ある地域・会社で一般的であったものが、自分たちの地域・会社では新しいという場合など、領域を定めて、その領域内で新しければ、それは「新しい」といえる。
実現可能性・再現性があるまぐれや机上の空論で、実現できなければ新しい商品・サービスは生まれない。また、継続的に続かなければ普及はしない。誰が何回やっても結果がでる再現性があることで一般に普及していく。
批判・不協和音がおこるなにか新しいことをはじめ、それが実現可能だと、既存の価値観を持っている人たちから批判や不協和音がおこる。しかし、それだけ人々の価値観に強く呼びかけているといえる。

イノベータに必要な5つのスキル

イノベーションの3つの要素を達成するイノベータはどのようなスキルを持つのか。ここでは村上さんから、イノベータと言われる先進的な考え方を持つ500人と、一般的な経営幹部5,000人を比較し、イノベータ500人の共通するスキルを導き出した例に、その本質を探ります(参考:クレイトン・クリステンセン著:イノベーションのDNA: 破壊的イノベータの5つのスキル

関連付ける力 物事(分野・問題・アイデア)を関連付ける能力。頭の中で普段は結びつかないものを結びつける。皆さんも、仕事と関係ない雑談、街を歩いているときに解決策を思いついたりする経験はないだろうか?
質問する力 本質・因果・構造を探り出す質問する力。人の話を聞く、物事を見る、何かに接したとき、その本質や因果関係、話の構造を組み立てるなど。
観察する力 回りの世界を注意深く観察する力。周辺で起きていることを細かく広く観察する。どんな人が関わっているのか、その人達がどういう動きをしているのか。
ネットワークする力 周りの人たちに働きかけを行う。自分たちでは実行できない場合は、実行できる能力や資源を持っている人たちを巻き込むことが重要。会社で席が隣の人、上司・部下、他部署、取引先、お客さま、同業他社、実現が難しければ広いネットワークが必要になる。
実験する力 行動しなければイノベータとは言えない。はじめての取り組みほど失敗する可能性は高いが、イノベーションに失敗はつきものである。そこから何を学び、次にどう繋げるかが重要となる。
第一回オリンピック競技大会陸上競技男子100mでクラウチングスタートをする選手
出所:DNP「イノベーションは、このような形で突如現れる」

参考:大日本印刷株式会社(DNP)の企業広告「イノベーションは、このような形で突如現れる。」

ダイアログ科目

「あなたの仕事はどういった仕事ですか?会社の中で”それ”に近づけているかどうか話している時間はありますか?」

ダイアログ科目では、経営コンサルティングアソシエーションの岡村さんにて、”ワイワイガヤガヤ”と”自分たちのそもそも”とは、自らを遡行することからはじまりました。

「イノベーションはだれでも起こせる。その人の存在(命そのもの)があり、その人の何かに対する愛着が生まれ、それが商品・サービスに変わり、お客様に買っていただきお金になる。それが自分・他の人の命につながる。これを繰り返すことでイノベーションは起こるのではないか。」と岡村さんは言います。

経営コンサルティングアソシエーション岡村講師によるディスカッション科目
「自分自身を遡行すればするほど、イノベーションのアイデアが浮かんでくる」

話し合いの4形態。誰でもイノベーションは起こせる!

岡村さんからはイノベーションを起こす会社の話し合いの特徴・風土として、話合いの4形態をご紹介いただきました。自分たちの今の立ち位置を確認したあと、今回は「遡行」をテーマに対話を行います。

1. 遡行 自分や会社の原点・創業原点について
そもそも”ジブン”とは何か?
2. 結果確認 先月の売上・予算など
話し合いをするとき、ここしか話さない会社は多いといいます。
3. 可能性探求 実現可能性について
こんなことができたら、こうやり方を変えれば実現できるか?
4. 目的共有 ビジョン共有など
経営方針発表会で使用されるも翌日は引出となっていないか。

iPhoneを例にすると、あれはスティーブ・ジョブズが欲しかったもので、軍事・政治利用されているものを庶民化したかったことが彼の原点である。自分自身を遡行すればするほど、自分ならではのイノベーションとそのアイデアが出てきます。

わいわいがやがやと対話する参加者からは「小さい頃、祖母に喜んでもらったことが今の仕事になっています」とその人の原点をお伺いできました。また終了後には「(勉強会に参加して)こんなに楽しい時間は初めて」「もう少し続けたい」といった感想をいただき、TIESの雰囲気も感じ取っていただけました。

「自分はどういった人間なのか。過去を振り返ることによって、自分の持ち味・モノの見方が分かってきます。商品を発展させていくために、自分の愛情を注ぐ必要があるが、そもそも自分を知っていないと何も注げない。」と岡村さんは言います。

経営コンサルティングアソシエーション岡村講師によるディスカッション科目
対話手法を体系的に学べる岡村さんのダイアログ科目

ディスカッション科目

TIESのディスカッション科目では「ケース・メソッド」という手法を取り入れています。ケース・メソッドとは、ある実際の事例を教材に参加者のディスカッションによって、実践的な課題解決力(分析・意思決定)を鍛える教育手法です。

今回の講師は村上さん、ケースはSNSでも話題になった「W大阪」のケースです。ケースと設問の概要をご紹介します。

討議の様子
討議の様子

ケース概要:W大阪「落ちちゃった」GT-R ミニカーがレッカー車で戻ってきた理由

愛知県在住の母親が、2歳の次男がエレベーターの隙間にお気に入りのミニカー「GT-R 覆面パトカー」を落としたエピソードをTwitterに投稿し、約30万の「いいね」を集めました。
次男がホテル「W 大阪」でミニカーを落とし大泣きしたところ、ホテルスタッフがエレベーターの管理業者に依頼。数日後、レッカー車のミニカーに引かれて自宅に届けられました。同封のメッセージカードには「大阪から愛知までレッカー車でお届けしました」と書かれていました。
この投稿は多くの共感を呼び、「W 大阪」のスタッフの遊び心と心遣いが話題になりました。子どもの気持ちに寄り添った対応が、多くの人々に感動を与えました。

ケース設問-概要

参加者個人で設問に回答いただき、その後5~6人のグループ、全体討議を行い、学びを深めていきます。

  1. このエピソードを読んで、どのように感じたり、どのようなことを考えたりしましたか? 
  2. このエピソードは、誰の、どんなファインプレーやチームワークで生まれましたか? 
  3. こうしたファインプレーを生みだしつづける会社やチームには、どのような雰囲気が必 要だと思いますか? 
  4. ご自身の会社やチームは、こうしたエピソードが生まれやすい雰囲気ですか?また、こう したファインプレーが生まれつづけるチームにするためには、何が必要でしょうか? 

グループ討議・全体討議

グループ討議ではまず、設問に対して自分たちが何を考えたかを話し合いました。ホテルスタッフの対応のエピソードの重要なポイントして、スタッフの心遣いと創意工夫、そしてその対応が顧客に感動を与え、大きな反響を呼んだことが挙げられました。顧客サービスの点からは、お客様第一主義、経営理念からこのような行動につながったのではないか、個人が一定の決裁権を持っているなどのシステム面が優れている可能性があるではないか、といった点が挙げられました。

また、村上さんから「あえて逆の考え、偏った見方で発言してみて」とあると、やりすぎなのでは?次のハードルが上がってしまうかも、といった点が挙げられるなど、自分とは違った視点からの発言に気づきを得ることができました。

このケースを通じて、顧客サービスの重要性と創意工夫の力を再確認しました。特別な対応が顧客の心を掴み、結果的に企業のブランドイメージ向上に繋がるキッカケとなります。。これらの対応ができるのは、スタッフ全員が持つ”集団的自己効力感”があるからかもしれません。今後、私たちも顧客に対して心温まるサービスを提供し、感動を与えられるよう、共に学びを深めていきましょう。

勉強会の様子:グループ討議
討議では活発な意見が飛び交う

まとめ

2024年度 第一回チーム・イノベーション道場in広島についてご紹介しました。今回は第一回目ということもいうこともあり、TIESでの学びを体験いただくことを目的にしておりました。

また、TIESでは次回(7月23日)の学びに向けたインタバール期間でも取り組みを進めております。次回のダイアログ科目では「自社の主力商品から考える、イノベーションの起点になりうる商品・サービス」、ディスカッション科目では「ケース:変わり続ける老舗和菓子屋 4代 目」を予定しております。

TIESへの参加・体験をご希望の方は以下にご連絡ください。では、次回にお会いしましょう。どうぞ宜しくお願い致します。


広島県商工労働局イノベーション推進チーム:中西、松浦、河相
TEL:082-513-3355
Mail:syo-innovchu@pref.hiroshima.lg.jp

 

TIESシーズン1の概要を覗いてみる

 
講師陣
左からTA杉田さん、岡村さん、村上さん

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