ごあいさつ

クリステンセンは、イノベーションをもたらす人材には、積極的にものごとを結びつけ、観察し、問いかけ、実験を繰り返すという共通した素養があり、また他社との結びつきを生みだす技能に長けていることを発見しました。

成熟が進むこれからの社会では、消費者や従業員による意思決定プロセスへの参加がますます加速すると考えます。人びとのつながりや働き方、そして生き方も技術や社会の成熟のなかで大きく変わりつつあります。

こうした社会的な構造変化を生じる新しい事業や組織では、業種の違いや規模の大小にかかわらず、現場で活躍する人材には、自律・協調的に行動できる素養が求めあれます。一方、組織の側にも、こうした人材をより多く引き寄せ活躍してもらうための環境整備が必要です。つまり、一人ひとりが失敗を恐れずに、他者との結びつきの中から積極的にものごとを結びつけ、観察し、問いかけ、活き活きと新たな実験に挑戦し、継続的に失敗から学び続ける実践力が、個人と組織の双方に求められるようになるものと予想されるのです。

私たちは、こうした実践的な技能涵養の必要性に注目し、単に知識の習得を目指すのではなく、実際にそれらの知識を他者との協働と共創のなかで活用する技能の涵養を目指す教育プログラムの開発に挑戦しています。

グラノベッターは、人々のつながりから情報がもたらされる状況を分析し、結びつきの弱いつながりほど、むしろ新しいチャンスを生みやすいことを発見し、これを「弱い紐帯の強さ ”strength of weak ties” 」と呼びました。

私たちは、これまでなかなか協働する機会のなかった人たちを結び付けようとしています。業種や職種、所属や立場を超えた「学びの共同体」を創出することで、それぞれの組織の現場、人びとの働き方や生き方、そして地域経済に新たな変化をもたらすという大きな変革(イノベーション)に挑もうとしています。

このイノベーションは、あなたの情熱を必要としています。この教育プログラムでは、受講者、講師、運営者をはじめ、この結節点に紐づくすべての関係者が対等です。あなたが変化をつむぐ紐帯のコアになるメンバーに成長されることを全力で応援します。

チームイノベーション道場 in 広島 道場長
村上敏也